ガルと僕 2



「ねぇ、ガルゥー。何がいい?」

僕はテレビを見ていたガルに声をかけた。
生返事が聞こえて、何でもいいと狼人が答えた。
それが一番困るんだよねー。
といいながら僕は冷蔵庫の中を確認する。
中はガラリとしてよく冷えていた。
ゴーとファンの音が微かに聞こえる。

「あー。何もないや。」

これでは夕食は作れそうにない。
ねぇ、買い物行こうか?
と聞くとおぉ。と答えた。
どうやら一緒に来てくれるつもりらしい。
のそのそと隣部屋で着替えている気配がする。

僕らは大抵、近くのデパートに買い物に行く。
正直、人ごみの中を二人並んで歩くのは少々はばかられるが、
一度に欲しいものを買い揃えられる利便性には変えられない。
第一、どこに行っても人通りがなくなることはないのだし。
ホントはガルと手をつないで歩いてみたいんだけどなぁ…

そんなことを考えながら、
ガルと二人並んで歩く。
ほんとどうしようかな。今日の夕食。
買い物カゴを持って、野菜、魚、肉と順々にコーナーを歩いていく。
今日はお肉 200 g 200 円か…。安いなぁ。

「ねぇ、今日はハンバーグとステーキのどっちが…、あれ?」

いない。そっか。
さっき、シャンプーが切れてるって話してたや…。
きっと取りに行ったのだろう。
うーんうーんとどっちにしようか悩む。
ガルは無類の肉好きだ。だから、どっちでも文句は言わないと思うのだが…。
考え込んでいると、ふと買い物カゴの重みが消えた。

「俺が持とう。」

そういい、彼はカゴに持ってきた商品を入れる。
あ、ありがと。
なんかいつもそういう気遣いが嬉しい。
俺はハンバーグがいいな。
という彼の顔を見上げながら、僕はにやけを顔に出さないよう必死だった。
たぶん、失敗してたと思う。

一通り店内を回り、商品をカゴにつめた後、
もちろんレジで精算する。
店員がそそくさと商品のバーコードを読み取り、
値段を読み上げている間、
僕はディスプレイに流れていく文字をなんとなく流し読みしていく。
いつもの癖だ。

ん。あれ?
なんか、思わず桁の違う数字に違和感を覚える。
千円超えるもんなんか入れたっけ?
そういえば、ガルがシャンプーを取りにいっていたが、
千円は超えないはず…。
思わず店員の手元を見ると、
ローションの文字…。
うぅ。
なんか一気に顔の体温が上がる。
ふっ、とガルをみると、
彼は顔を赤くしてそっぽを向いた。
かっ、確信犯だ。

カゴの上に載せられた袋にそそくさと買い物を詰め込み、急いで店を出る。
なんか、恥ずかしい。

もうなかったから。
とガルが僕の様子を気にしながら言う。
たしかに必要なものではあるし、僕は強くはいえない。
……恥ずかしがるのがおかしいのかな。
ガルは何でも堂々とやってのけてしまう。
時々躊躇いがちな僕の様子に気づいて、混乱するようだ。

うん。と僕は生返事をする。
ふぅと小さなため息が聞こえて、
今度から俺が買ってくる。
とガルが言う。

ううん。いいよ。二人で買おう。
僕はガルが好きだし、その気持ちに嘘はない。
付き合っているのも真実なのだし。
この程度のこと、恥ずかしがる必要はないよね?
僕はグッと顔をあげ、もう一度言う。

「二人で買おう」

ガルは頷いた。
でも、今度からは買うときは事前に言ってよね。
おぅ。でさぁ、今夜は…
もう、ばかぁ。
……

僕らは帰路についた。






あとがき

ごめん、微妙な話になった。
ちなみに、僕は筆者ではありませんよー。
念のため。

↑誤解があったみたいです。
書き方が悪かった;;
この物語に登場する「僕」というキャラクターが
筆者のことではないですよという意味です。
書いているのは wolf です。
変な誤解を招いてしまってすいません;

2008/01/31 執筆
2008/02/12 あとがき加筆


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