銀次郎の過去



銀次郎は生まれつきの万年わんわん病。
そのため、外には出してもらえず
土牢に幽閉されていた。
しかし、先日なぜか
あるこじんまりした小屋に移されたのだった。


ジャラジャラ
鎖が擦りあう音がする。

「あー。暇だ」

小さな小窓しかない押し迫るような壁に囲まれた小屋のなかで銀次郎は呻いた。
窓から差し込む月光のみが部屋を暗闇にすることを防いでいた。
ガシャガシャ
思いっきり鎖を引っ張るが銀製の鎖はびくともしない。

「ちっ、力がはいらねぇんじゃぁ面白くねぇな」

銀は狼の力を奪ってしまうのだ。
もちろん噛み付こうが叩きつけようが鎖は変形すらしない。
今の銀次郎の力は普通の人間のそれよりも劣っている。

外は静まり返っていて虫の音や風で木の葉や草がこすれあう音が聞こえる。
と、遠くから人の足音が聞こえた。
銀次郎はクンクンと鼻を鳴らす。

「男か。壊しがいがありそうだな」

銀次郎の口元がにやりと釣り上がる。
銀はオオカミの優れた聴覚や嗅覚は奪いきれずにいた。
ギィとさびた蝶番がきしんだ音をたて、木製の扉が開く。
薄暗く狭い空間に淡い月光が差し込み、サングラスをかけた一人の男が入ってきた。

「飯か」

この小屋には毎日、朝晩に食料が届けられる。
いままでは小娘が運んできていたのだが。

「今日から俺がおまえの世話係だ」

銀次郎の思考を読み取ったように男が口を開く。
つまり、この男は駒犬家に雇われた者だということだ。
しかし銀次郎にはそんなことは問題ではなかった。
男の体躯は大きい。
壊しがいがありそうだ。
銀次郎の思考は常にそんなことでみたされている。
長い幽閉で銀次郎の精神は壊れかけていた。

男は机の上に持ってきた食料を置く。

「なぁ、あんた」

銀次郎は男に呼びかけた。
鎖をカチャカチャ鳴らす。

「これ、はずしてくれよ。」

銀次郎は自分の戒めを解くようにいった。

「解いてほしいのか?」

「あぁ、解いてくれよ」

男が近づいてくる。
!!
しかし、銀次郎に与えられたのは自由ではなく、拳であった。
強烈な一撃が腹に打ち込まれた。
銀次郎は唾液をはきながら倒れこむ。

ゲホッゲホッ
四つんばいで咳き込む銀次郎の手首に力がかかる。
手首を縛る鎖が引かれ、前のめりに倒れこんだ形になる。

銀次郎

「てめぇっ、なにしやが…」

振り返ると男は狼の遠吠えをしていた。
小さな窓の外には満月が見える。
見る見るうちに男の姿は変貌を遂げ、オオカミとなる。

「今日はおまえを懲らしめてくれということでな」

「あ?」

男はカチャカチャとベルトを外す。
!!

「おっおい!なにしてやが…!?」

男は全裸となり男のすべてが露になる。
銀次郎はさぁっと青ざめた。
男は勃っていた。

「おっおま、まさか……」

「これも仕事なんでな。」

「やっやめ……っ!俺に近づくな!!」

「お仕置きだ」

男は脱ぎ去った服から小瓶を取り出すと
そのピンクの粘質の液体を手に取った。
鎖を引き、銀次郎の露になった尻に塗りつける。

「やめろぉ!」

銀次郎は叫ぶが、その叫びは夜の闇に消えてゆく。
何度も塗り付けられ銀次郎のそこはやわらかくなる。

「うぅぁ」

銀次郎の鈍いうめき声と共に
男の指が次第に銀次郎の内部に入る。
一度入ってしまえば、そこにさらに粘液が入り込み
スムーズに侵入を許してしまう。

「くそっ、この俺が…」

銀次郎は悪態をつくが、下腹部では湿った音がし始めている。
と、銀次郎は異変に気づいた。

「へへ、効いてきたな」

銀次郎は股間に血が集まり始めているのを感じた。
尻の内部も熱く過敏になってきている。

「てめぇ、なにを…」

「なにをって媚薬に決まってんじゃねぇか。クククッ」

男は銀次郎から指を抜き去ると、過敏になったそこをぴちゃぴちゃと
音をたてて舐める。

「やっめっぉ」

必死に腰を振るがもちろんそんなことでは男は離れず、
腰の動きに合わせて男の頭部が動く。

「おぅおぅ、もう腰を振りやがって」

「ちがっ」

「うそつけ。もうこんなになってんじゃねぇか」

男は銀次郎の尻たぶを掴み、さらに深く舐める。
過敏になったそこをかき回すぬめぬめとした熱に
銀次郎の雄はいきり立っていた。
先端から透明な液体が零れている。

「へへ、俺も媚薬で興奮してきちまった」

そういい、男は自らに媚薬を塗りたくると銀次郎にあてがう。
もう、銀次郎に拒む力は残っていない。
ゆっくりと体重をかけられたそれは
ぬるりとした感触を伴い、銀次郎の内部に侵入を果たす。
銀次郎は体内に入る熱とともに、過敏なそこが
痛みだけではない感覚を伝えるのを感じていた。

はぁはぁ
お互いに息が上がる。
男は銀次郎の腰を掴み、自らのそれを何度も打ちつけた。
ぐちぐちゅと卑猥な音が夜に響く。
オオカミにオオカミが覆いかぶさる姿はまさに獣の情交にしか見えない。

「っぅあぅぁ」

段々と激しくなる交わりに銀次郎の口から
呻きとも喘ぎともしれない声が漏れ始める。
感情が昂ぶった男は銀次郎の首に噛み付く。
と男の腰の動き一段と大きく、速くなった。

フーフーと荒い男の息遣いが小屋に響く。
男は銀次郎にのしかかり、地面に押し付ける。
ぴったりとくっつけられた腰の最奥で
熱が流れ込んでくるのを銀次郎は感じた。

雄がゆっくりと抜き取られたそこからは
男の子種がドロリと垂れ、内股を伝って床に流れる。

その後、何度も種付けを行い
満足した男はズボンをはき、
カチャカチャとベルトを締めると去っていった。





……月夜ばかりと思うなよ

暗闇に残された雄臭い小屋の中で
放心した銀次郎は世話係と駒犬家に復讐を誓った。





あとがき
銀次郎さんが暴走したのにはこういう理由が……。
あるわけないねw

2008/05/23 執筆


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