インキュパス 1




おれはインキュパスという悪魔だ。
おれたちの仲間は単体では生殖能力を持たず、
他者の生殖器官を借りて生殖を行っている。
そのときについでに精気も少しいただいて、
腹を満たしているというのがおれたちの生活環だ。


おれは何の気もなく森の上を飛んでいた。
暗くなってきた。
そろそろ今日の獲物を見つけなくてはならない。


と、何かいい匂いがしてきた。
匂いの方向へ飛んでいくと近くに洞窟があるのが見える。
どうやらそこから匂いがしてくるようだ。


身を隠しながら中に入ると、
焚き火が見える。
誰かここで暮らしているらしい。
壁側で仰向けに寝ている獣人が見える。
なかなかいい体躯をしている。
こいつにしよう。
今日の晩飯が決まった。


おれはスラリとした腕や足を誇張するように獣人に近づいた。
いや、まあ獣人は寝てるわけだから見てないのだが、
雰囲気って重要だろ?
おれの体重を受けて敷き詰められた藁が乾いた音を立てる。


うわっ。こいつ風呂入ってんのか?
全身がとんでもなく雄臭い。
ごくり。うまそうだ。
試しに股間に顔を近づけてみる。
おれの匂いに反応してか、もうすでに少し膨らんでいるのだが、
雄の匂いでくらくらする。
なんか、どきどきするな。


おれはまず失敗しないように獣人の口に自らの口を重ねた。
そっと手を回す。
おれらの唾液には催淫作用がある。
だから、軽く開いた口から舌を押入れ、
ねっとりと口の中をかき回して唾液を混ぜ合わせる。
おぉおぉ、むこうも仕返してきた。
起きた様だ。
仕返したということは術中に落ちたということ。


「ふん。インキュパスか。いいだろう。
ちょうど暇してたところだ。相手をしてやる。」


獣人は、したいだけなくせしてえらく尊大なことをいう。
まあ、俺としては正体を知られていようがいまいが、
種と精気さえもらえたら文句はない。
おれの背に手を回し抱き寄せながら、
より深くキスをしてくる獣人を細い身体で受け止めてやる。
おかしいな。
いつもより密着部が熱い気がする。
気のせいか?


鼻息荒く、仰向けからひっくり返っておれに圧し掛かる獣人に
おれはフェロモンを出しながら、
獣人をより誘惑し、煽る。
獣人はすぐにその甘い香りの虜になり、ぼーっとおれをみている。
おいおい。股間が盛り上がってるぜ。
押し付けられる股間ががちがちだ。


「脱いだら?」


おれは、獣人に早く裸になるよう言う。
獣人は上体を起こし、シャツ、ズボンと脱ぎにかかる。
おれははじめからほとんど裸だ。


でかいな。
むき出しになった獣人のそれはすでにいきり立っていたが、
今まで相手にしたものよりも一回り大きかった。
おれは尻がうずくのを感じながら、
「して」という感じに四つんばいで尻を向けた。


その匂いに贖えないのか獣人はそこを嗅いでくる。
おいおい。はずかしいだろ。
だが、ぺちゃぺちゃと舐められると気持ちいいので、
そのまま抵抗せず舐めさせた。
舌が直腸に侵入し、執拗に内部を舐める。
湿った音が当たりに響く。
やばい。そんなにされると感じてしまう。
実際おれは脚が震えだしたし、
フェロモンが腸内から溢れ出し、内股を伝った。


獣人は溢れてくるフェロモンをうまそうに舐めとり、内股に伝ったものまで舐め、
さらに鼻息を荒くする。
もうそろそろ限界か、獣人は獣の格好をしたままのおれに乗りかかってきた。
おれは獣人が挿入しやすいように少し股を開き、背をしならせる。
ほぐれたそこに獣人の雄があてがわれ、ゆっくりと侵入してくる。


「………っぁ」


確実にでかい。
今まで感じたことのない質量が入ってくる。
おれは下半身に熱の塊が入り込んだのを感じた。
先端からぬるぬると熱い液が出ているのがわかる。
獣人は先走りがとても多いから世話がかからずいい。
上体を起こした獣人はおれのわき腹を掴み、
腰をゆっくりと大きく振り始めた。
しっかりと腰を掴まれ、奥まで突き入れたままさらに引き寄せられて、
最奥まで擦り付けられる。
何度も奥まで突き入れられ、何度も陰嚢が股にぶつかった。


と、急に獣人は体制を変え、上体をおれの背中に押し付け、
片腕でおれの腹を抱き、もう片手で体重を支えた。
背中の毛皮がなんとも野生的だ。
おれは結構ケモノも好きで、よく狼や虎などからも子種をもらう。
いまはそれに似た感覚だ。
まあ、まさにケモノに種付けをしてもらっているのだが。


うぅ、でかくて気持ちいいとおれが感じていたとき、
突然獣人は一際激しく腰を打ちつけ、
これでもかと腰を押し付け、おれを地面に押さえつけた。
ガクガクと足が震え、中では奴の雄が一際大きくなりビクッビクッと波打っている。
間違いない。
種付けの瞬間だ。
おれも尻に力を要れ、射精を促してやる。


「おぉ…っぅぁぉおぅ……」


体内で熱の塊が勢いよく放出される。
生臭い粘質の白濁液が行き場を失い、内股にも伝う。
これは良質だ。


こいつの子種はうまいな。
体内が焼けるかと思うほど熱く、
驚くほど濃厚な白濁液が腸内にへばりついていくのが分かる。
あまりの濃度と量におれ自身が妊娠してしまいそうだな…


獣人はまだ気持ちよさそうにおれに種をつけている。
そうか。そんなに気持ちいいか。
おれはおれでもう十分に精液を手に入れたし腹も膨れたが、
なぜか熱が冷めず、堪らなくもっとほしかった。


そうだな。
今晩は相手をしてもらおう。



あとがき

獣人の種族はお好きなように読んでください。
いつもたいしたのが書けない。
切ないのが書きたいなぁ。

執筆 2007/09/14


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